Libera – Going Home

 レッスンで静かに響いたリベラの「ゴーイング・ホーム」。透き通った歌声に導かれ、天空の景色の中で雲を潰さないような柔らかさと丁寧さで踊りました。

 Croisé(クロワゼ:上半身と下半身の関係性が客席から眺めてシルエット的にクロスしているボディ・ディレクション)のCinquiéme(サンキエーム:基数詞ではなく序数詞なので英語のFiveではなくFifthにあたる5番)からCoupé Derriére(クペ・デリエール:後ろ足をクペ。Coupéは英語で言えばCut。動きを切る、短縮する場合に使われる。クッペと呼んでしまうと音楽との同調性が低くなるため、個人的にはクペと呼ぶ方が踊りやすいと感じる。Derriére:後ろに)を経てQuatriéme Derriére(キャトリエーム:序数詞なのでFourではなくFourthの意味を持つ4番ポジション)へDeveloppé(デヴェロペ:膝を伸展。発音のアクセントは3音節目ではなく第1音節に置く方が伸びやかに脚を動かしやすい)。

 Cou de Pié Derriére(クー・ドゥ・ピィエ・デリエール:スタンディング・レッグの足首にワーキング・フットを付けた状態。Couは首。例えばフランス語圏で販売されている首専用のクリームにはCréme pour Le Couと表記されている。首は男性名詞なので定冠詞はLeとなる。deは前置詞で英語ならat、Piéは英語ならLegではなくFoot、よってCou de Piéは英語ならAt the neck of the foot=足首に)からCou de Pié Devant(クー・ドゥ・ピィエ・ドゥヴァン:スタンディング・レッグの前側にワーキング・フットを付けた状態。Devantは前にという意味)へStaccato(音楽用語のスタッカートでダンスの場合は動きの一つひとつを分離させる事)なPetit Battements(プティ・バットマン。Petitは小さい、Battementsは英語ならBeatsで打つ動作の複数型。Battementが男性名詞なので形容詞はPetiteではなくPetitとなる)を踊り、Effacé (頭、首、肩の操作、いわゆるエポールマンによって舞台奥側の身体の一部が影になっている雰囲気を持つ ボディ・ディレクション。第2音節を強調するエファッセではなく第1音節にアクセントを置いたエファセという発音の方がより踊りと呼応する)を経由してQuatriéme DevantへDeveloppé。

 4番のDemi Plié (ドゥミ・プリエ:1番、3番、4番、5番で踵が床に着いたまま降りられる深さのプリエ。Demiは半分という意味)を曲との調和の中で踊りながら、Temps Lié(タン・リエ:前後、横、斜めへの重心移動。Tempsは時間、時、Liéは繋がっている状態を意味する)。

 足元の白い雲が空の青に渦を巻くようにRond de Jambe en Dehors(ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・ドゥオール:ワーキング・レッグがスタンディング・レッグから外へ向かって旋回する動きで描く弧。Rondは円、deは英語のofと同じ、JambeはFootではなくLeg、en Dehorsは動作の状態を表現する副詞で英語のOutwardと同じ外側への意味)したら、その渦の中に消えて行くようにPremiére Arabesque(プルミエール・アラベスク=第1アラベスク:Premiéreは英語ならOneではなくFirstにあたる。Arabesqueはアラビア風を意味する言葉で美術における流線型や装飾的な音楽スタイルにも使われる言葉。Arabesqueが女性名詞なので発音は同じでもスペルはPremiérではなくPremiéreとなる)でFondu (フォンデュ:溶けるようにスタンディング・レッグがプリエ)。

 リベラならではの光溢れる世界をBallet(フランス語なので末尾の子音tは無音となりバレエ)という言語と知性で感じ、この曲の歌詞が語っているように愛する人、懐かしい顔が迎えてくれる「本当の家」へと帰った清らかな時間でした。