ガブリエル・フォーレ                                                                                             ピアノ四重奏曲 第1番

 せせらぐ川面で揺れる光のように、ツヤツヤとした緑の上に舞い降りて弾ける雨のように、フォーレの美しい狂気が調和の中で発露している作品 。  耀きの季節、風に吹かれて感じたい一曲です。

夏の名残のばら ー                             アメリータ・ガリ=クルチ

 多くの素晴らしい歌手によって表現されてきたフロトーによるオペラ「マルタ」の中の「夏の名残のばら」ですが、個人的にはアメリータ・ガリ=クルチの歌唱が一番好きです。  歌の始まりと同時に音楽と寄り添い、以降、音と離れる事も...

ブラームス 雨の歌                                                                                                                                                                                                                                                 ヴァイオリン・ソナタ 第1番ト長調 作品78

 光沢のあるライトグレーの雲が静かな波のように流れる空の下、全身に雨を浴びる満開のソメイヨシノが美しく震えている。  ブラームスの明るくもどこか物悲しい「雨の歌」と同調しながら、ただ無抵抗に濡れている桜。  柔らかくなっ...

マエストロ・ホロヴィッツの手

 美しい手が奏でる美しい音楽 - 天才ウラディミール・ホロヴィッツは、そのエレガントな手と指を、どんなバレリーナよりも優美な柔らかさで動かしていました。  鍵盤をそっと撫でるように手をかざし、長い指を上品に躍らせるマエス...

芸術と謙虚さ

 日々、何らかの形や場面で美しい芸術に触れる事は、私たちの人生に沢山の祝福を届けてくれますが、そのうちの一つは「謙虚さ」かも知れません。  まさに神に選ばれし巨匠たちから放たれた人類へのギフトと言ってもいい素晴らしい作品...