イメージの力

 バレエを含む芸術はもちろん、スポーツにおいてもイメージする力は非常に大切です。

 解剖学的知識を深め、人体の骨や筋肉の名称・機能を細かく理解する事は有益かも知れませんが、それだけでパフォーマンスが向上するのであれば、外科医の多くは優れたダンサーやアスリートになれるポテンシャルを持っているという話になってしまいます。
 
 人間に翼はありませんが、背中から羽が生えている感覚をイメージすればポール・ド・ブラ(腕の運び)の質感が変わるように、ある状態・情景を思い描く事は、それだけで表現に更なる深みと奥行きを与えてくれます。

 皆さんも良くご存知のように、梅干しを食べているところを想像すると唾液が出たり、怪談を聞いていると鳥肌が立ってしまったりと、私たちは日頃からイメージするという行為で自らの身体に様々な変化を起こしています。
 
 この過程と現象を恣意的に有効活用する事こそ、すべてのクリエイティブな作業やアスレチックな活動にとって重要なのです。