プリエ6

 広がり、高さ、奥行き、そして鮮やかさを増していく景色の中で、胸は気持ちよく膨らみ、それと連動して頭の傾きが変化した結果、目線は上昇します。
 
 肩も胸が上がり切る事で押さえつけずともなだらかに収まり、首は整ったトルソーから自然なカーブを連ねるだけで、引っ張らなくてもしなやかに伸びるのです。

 リラックスした腕は緩やかな曲線を描く枝のように運ばれ、掌も指も生まれたての柔らかい葉のごとくほころびます。

 瑞々しい生命力に溢れる一本の茎はすくすくと成長を続け、これ以上伸びると大地から根が抜けてしまう - そう感じた瞬間、その先端で膨らんでいた蕾を開花させるのです。

 空と大地の間で光に包まれ、風にそよぎながら咲く一輪の花は、穏やかな幸福感の中でその美を広げ続けます。  
 次のプリエが迎えに来てくれるその時まで - ただ涼やかに、淡々と。