数々の名ヴァイオリニストによる名演奏が残っているトマーゾ・アントニオ・ヴィターリの「シャコンヌ」ですが、この曲も「踊る」という事を前提に聴くと、その踊り手に相応しいヴァージョンというものが浮かび上がって来ます。
例えばメリル・アシュリーやゲルシー・カークランドならハイフェッツの演奏、スザンヌ・ファレルやアレッサンドラ・フェリならグリュミオー、ナタリア・マカロワやディアナ・ヴィシニョーワならミルシテインの演奏がマッチしていると思うのです。
クールバレエのレッスンのために選んだのはダビッド・オイストラフ版。美しい緊張感に満ち溢れた素晴らしい演奏です。ちなみにこの演奏は、ダーシー・キスラーやアニエス・ルテステュの踊りにもぴったりだと感じます。
もちろんライヴ・パフォーマンスに勝るものはないのでしょうが、音源がCDでも一流のアーティスト達が奏でる宝石のような音楽に包まれて、今、ここで踊る事が出来る幸せに感謝の気持ちでいっぱいになります。