スザンヌ・ファレルの魅力は、そのパフォーマンスの完成度にあるのではなく、彼女の完璧な不完全さにこそ宿っていると感じます。
形式的に合格点な美では無くても、スザンヌの踊りには音楽の中に自分自身を放り投げてしまう純粋な子供のような大胆さ、そして、ステップ自体がどんどん乗り移って勝手に彼女を操っているのではと思わせてしまう「解き放たれた感」があり、どんなに完璧なボディを持ったバレリーナがどんなに完璧なテクニックを駆使して踊っても、スザンヌ・ファレルの踊りを再現する事など到底出来ないのではないでしょうか。
神に選ばれし舞姫 - それがスザンヌ・ファレルなのだと思います。