スザンヌ・ファレルは、必ずしもバレリーナとして理想のプロポーションをしている訳ではありません。
もちろん、バランシンのミューズであった程ですから、細い事は確かに細いですし、十分に長く、美しい手足に恵まれてはいます。顔もルネサンス期の宗教画を彷彿とさせるような清らかさです。
しかし、彼女の全体的なボディラインは、バレリーナとしては非常に柔らかくフェミニンなフォルムで、当時としてもバレエのための理想的なプロポーションという感じではなかったように思います。
加えて、スザンヌ・ファレルは幼少期に馬に踏まれて片方の足はアーチが潰れている状態です。
アラベスクなども完全に膝が伸びきっている状態には見えにくい脚のラインで、例えば、彼女がニューヨーク・シティ・バレエで活躍していた頃にABTで踊っていたナタリア・マカロワのように、それこそ観ているだけで惚れ惚れする脚や足では決してなかったのです。