本田真凜 - 氷に舞う清らかな花

 フィギュアスケーターの本田真凜選手が9度目の全日本選手権出場を決めました。

 2016年の世界ジュニア選手権、ショートとフリー両方で素晴らしい演技をした本田選手は見事に優勝。ちなみに平昌オリンピックで金メダリストとなるザギトワさんは同大会で2位でした。
 ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」で舞った透明感溢れるショート・プログラムにも魅了されましたが、この試合で本田選手は映画「ビートルジュース」からのサウンドトラックでフリー・プログラムを演じます。
 当時、この難しい曲とトム・ディクソン氏による個性的な振付けを、天性の滑らかなスケーティングと清らかな笑顔で滑り切った彼女の才能に深く感動した事を、今でも鮮明に覚えています。

 本田選手はとても美しく、美しい事が本田選手でもあるのですが、その美しさ故にバッシングされてしまった事もあると感じます。平凡でないものに対して、懐疑的になってしまう人も世間には少なからずいるのでしょう。

 全てを持っていた浅田真央さんの引退以降、フィギュアスケートそのものを昔ほど観戦しなくなってしまった私ですが、本田選手の演技だけは必ず観たくなります。競技としてのルールや採点以前に、本田真凜選手はとにかく「美しく滑る」事が出来る類まれなスケーターなのです。難しいスピンの時でさえ表情に気を配っているのは、本田選手だけです。

 浅田真央さん同様、幼い頃より注目され、愛され、そして批判され、妬まれた事も人一倍経験している本田真凜選手。彼女の演技はナンセンスな縛りのないアイスショーで今後も観る事が出来るかも知れませんが、おそらく競技としてのフィギュアスケートは今年の全日本選手権が最後の演技となる予感がします。
 これまで本田選手がプレゼントしてくれた沢山の感動への感謝の気持ちを込めて、心の底から応援したいです。

 ただ咲いているだけでも美しい花が氷の上で可憐に舞う。本田真凜選手はフィギュアスケートを通して「美は善である」事を、この上なく雄弁に語っている才能溢れる表現者なのです。