マエストロ・ホロヴィッツの手

 美しい手が奏でる美しい音楽 - 天才ウラディミール・ホロヴィッツは、そのエレガントな手と指を、どんなバレリーナよりも優美な柔らかさで動かしていました。

 鍵盤をそっと撫でるように手をかざし、長い指を上品に躍らせるマエストロ・ホロヴィッツ。どっしりと構えているスタインウェイもくすぐったくなるのではないかと思ってしまう程のソフトなタッチから生まれる天空の音は、世界中でどれほど多くの人に至福の時間を体験させてくれたことでしょう。

 特定のバレエ・ダンサーの手の動きに憧れた事は一度もありませんが、マエストロ・ホロヴィッツがシューベルト(リスト編曲)のセレナーデを演奏する時のような繊細さと愛情で手を踊らせる事が出来たらと願う事しきりです。
 
 空間を撫でるだけで美しい調べが響くような手 - 踊り手にとって、永遠の憧れです。