コンテンポラリー・ダンスのホセ・リモンとマース・カニングハムのテクニックを、ネオ・クラシカルなバランシン・テクニックと融合させて踊ったラヴェルの「ボレロ」。
テクニックの引き出しを増やして表現の幅を広げるためには、他の芸術同様、ダンスも異なるスタイルがクロスオーバーし、発展的にフュージョンする事が自然な現象です。
特にカニングハム・テクニックはバランシン・テクニックと相性が良く、これら二つの異なるテクニックは、非常に相補的な関係性でパフォーマーにとっての「踊る自由さ」を高めてくれると感じます。
「ボレロ」の旋律が求める様々な表情のPliéも、重力に身を委ね、大地に押し返される感覚をより鮮明にしてくれるリモン・テクニックに支えられ、平坦な床ではなく球体の上で踊っているような身体感覚を導き出してくれます。
身体が反応するためには刺激が必要です。そして、刺激は「いつもとは違う」からこそ刺激として感じる事が出来るのです。今回はその刺激が起こした身体感覚を、淡々と流れて行く「ボレロ」の景色の中で経験した面白いレッスンとなりました。