プリエ2

 プリエの始まりの動きを下方向と捉えている方も多いと思いますが、実際、プリエは上へと伸び切った瞬間こそがその始まりです。

 大地、すなわち床と繋がった足の裏がまるで地中へと根を伸ばして行くかの如く床を押し、その結果、大地から押し返される。
 床から湧き上がってきたエネルギーが足首、ふくらはぎへと上昇して行く事で膝が伸び、腿とお尻は無駄な力を入れる事無く引き締まり、体幹に程よい緊張感が生まれます。

 上手く床を押せている時には、ウエストが軽く帯を締めて細くなったように感じられ、肋骨はまとまり、胸は開いて上がって、肩は自然に下がるのです。
 この段階で身体全体はより高く、細く、長くなります。

 大地に根を張り空へと向かう茎からは、枝が伸び、葉が広がるように腕と手がアロンジェし、頭は膨らんだデコルテに煽り上げられ、蕾が開花したような柔らかい表情で視線は遠くに広がる景色を捉えます。
 
 空の下で光に包まれて美しく咲いた一輪の花。
 
 その花が再び大地へとエネルギーを循環させて行く。ここからがプリエの下方向への旅の始まりです。