もう随分前になりますが、厚生年金会館での中森明菜さんのコンサートは今でも鮮明に記憶に残っています。
一流のバレリーナも顔負けの見事なCambré(カンブレ:バレエで上半身を後方へ反る動き)でステージにせり上がって登場した明菜さんは、純白のドレスに身を包み、神々しいオーラを放っていました。
言うまでもなく歌唱力は素晴らしいのですが、私がこのライヴで最も感動したのは中森明菜さんの並外れたダンスの才能です。
身体全体での曲の捉え方、響かせ方 – そして声というもう一つの楽器を奏でながら非常に高いレベルとエネルギーで踊り続けた明菜さん。
客席にいた子供に向かってしゃがんで優しく話しかける彼女の姿にも癒されましたが、一曲一曲の世界観を歌と踊りの両方で隅々まで表現する中森明菜さんは、ステージから観客へ向かってオーロラのように美しく大きな波を送ってくれているかのようで、興奮と同時に何とも言えない清らかな気持ちを体験する事が出来た才能溢れる歌姫のパフォーマンスです。