鐘がモチーフとなっている作品は多々ありますが、私にとって鐘と言えばやはりセルゲイ・ラフマニノフのこの曲です。
ソチ・オリンピックでの伝説のフリー・プログラム「ピアノ協奏曲第2番」もそうでしたが、この天才作曲家の荘厳な孤高の景色を、それまであまりラフマニノフに馴染みがなかった方々にまで届け、この上なく美しい解釈と表現で感動させてくれたのは間違いなく浅田真央さんだと思います。
真央さんが踊るショパンの曲も甘美の極みですが、ラフマニノフを踊る彼女は威厳に満ちた神々しい光を放っているのです。特にバンクーバー・オリンピックでのフリー・プログラム「鐘」を踊った時、浅田真央さんはこの名作を作曲した時のラフマニノフと同じ19歳という年齢だった事もあり、二人の稀有な天才の不思議な繋がりと運命を感じずにはいられません。
フィギュアスケートという枠を超越して芸術の素晴らしさを世界に広めるその才能は天からのギフトであり、浅田真央さんは神に選ばれし地上の天使なのだと改めて感じさせてくれます。
音楽、身体、心、そして魂が継ぎ目なく融合された最高の表現で世界中の人々を幸せにする浅田真央さんこそ、まさに愛溢れる芸術とスポーツの美しきアンバサダーなのではないでしょうか。
メダルの色で語る事など決して出来ない浅田真央さんの人類への素晴らしい貢献に、感謝の気持ちが溢れる大晦日です。