私が子供の頃、何かのインタビューで「腕が長くてサンローランのブラウスしか着られない」「箪笥の引き出しはエルメスのスカーフでいっぱい」と話されていた小林麻美さん。
服が大好きだった私は「サンローランやエルメスって何なのだろう」と興味津々になり、ある意味、これが私にとってモードへのイントロダクションとなりました。
Ennui(アンニュイ)という言葉を美しく体現していた小林麻美さんは、まさに昭和を代表するファッション・アイコンの一人だと言えるでしょう。
そんな彼女のために松任谷由実さんが日本語版の詞を書いた「雨音はショパンの調べ」は、小林麻美さんの黒でも白でもグレーでもベージュでもない極めて淡いシックさにぴったりな一曲だと思います。