喜多郎 – 古事記

 日本が世界に誇るアーティストである喜多郎さんのアルバム「古事記」で踊った昨日のマンツーマンレッスン。

 バレリーナたった一人で喜多郎さんが織りなす万華鏡のような情景を踊り上げる事は容易ではありませんが、何本か通していく中で確実に音楽との距離も縮まり、単に音とタイミングを合わせながら振りを覚えるのではなく、自らもその一部となって一枚の美しい風景画を描いて行く過程を垣間見てくれたと感じています。

 音楽はパフォーマーのためのBGMでも伴奏でもなく、本来は何も加える事なく完成している一つの世界ですから、それを高い純度で表現するためには「自分」という邪魔者が姿を消してしまう事が重要です。

 作品を踊る度に自我が薄まって行き、最終的には自分自身が景色と融合して空や花や風や光と区別がつかなくなる – そういう一体感の喜びを経験してもらえればと願っています。

 レッスン時に可愛いお花をプレゼントしてくれたのですが、私にとって目の前にいるダンサーこそが、美しく咲かせるべき大切な花なのだと常に思っています。