澄み切った青空が広がる朝。サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調でじわじわとスイッチを入れる。
第一楽章に乗ってグラス一杯の水が体に行き渡る感覚が気持ちいい。
深い呼吸を巡らせながら一杯目のコーヒーを淹れて、カップの温かさを掌に分けてもらう。新しい一日を迎えられた奇跡に感謝。そして、その一日の始まりに響く素晴らしい旋律に感謝。
清らかな第2楽章に包まれてバルコニーのマートルに水やり。光を浴びた雫がキラキラと美しい。
二杯目のコーヒーを味わっている頃には流れている第3楽章。広がりを増す音楽のエネルギーに包まれて、心身ともに整えられて行く。
「今日もいい一日にしたい」と願いながら再び見上げた空は、雲一つない青空のままだった。