とにかく最初から最後まで、全ての曲、全ての瞬間が「清らか」の一言。
ピエール・ド・ラ=リューの「レクイエム」を聴いていると、浮世の垢が洗い流されるような感覚になります。
澄み切った空からゆっくり舞い降りて来た光が、そっと肩にかかる。そこに微かな風が吹いて、涼やかな静けさが肌に広がりながら、じわじわと心の奥まで染み入ってくる。
作品は輪郭のない美しい何かがすれ違って行くようなさりげなさで展開し、「この曲にもっと浸りたい」と願っていると、いつの間にか次の曲に包まれています。
このレクイエムが届けてくれる静寂の中に佇んでいると、思わず「迎えに来て」と呟いてしまいそうです。