30年以上前、最初にピーコさんにお会いしたのはとても素敵な空間が演出されている隠れ家的なバーでした。
初対面の私に気さくに話しかけ、美味しいカクテルまでご馳走してくださったピーコさん – テレビで拝見していた若々しく知的な雰囲気はそのままで、時々こぼれる笑顔はまるで子供のような可愛らしさでした。
私が着ていたロイヤルブルーのトラックジャケットに興味を持たれ、胸の部分にあるイタリア語の刺繍の意味を聞かれた事を覚えています。
ピーコさんとは行きつけのバーだけではなく地下鉄半蔵門線で偶然にも同じ車両に乗り合わせたり、中目黒や自由ヶ丘でばったりお会いしたりと、その後も不思議なご縁が続きました。
あたたかく、優しく、純粋で花のようなピーコさんの微笑みは、ご本人が経験されたであろう数々の偏見や差別をも瞬時に溶かすような大きさ、深さ、強さ、そして愛の象徴だったと思います。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。