家路 ドヴォルザーク

 今も昔も勉強は大好きなのですが、小学校以降、学校という組織、そして憧れや尊敬とは程遠い教師陣に深く失望し、家へ帰っても居場所がなかった私にとって、学校と自宅を繋ぐ「家路」だけが心も体もしばし安らぐ事が出来る特別な時間でした。

 痛みと悲しみに押しつぶされそうな日々の中、お金や力はもちろん、現在のような情報や救済のネットワークもなかった遠い昭和の時代の田舎町で、子供の私にあった選択肢は全てを終わらせる事または全てを想像する事の二つだけでした。

 出来る事ならあの時の自分を救いに行き、抱きしめ、しっかりと手をつないでここまで連れて来てあげたい。心の中で何度も思い描いた幸せな家路を一緒に辿りながら。